新しい MEP プロセスで、穴のバリ取りを改善
バリの形成は、すべての業界において、特に重要なコンポーネントの深い抜け穴加工など、部品製造にとって課題となっています。これらの加工では、ワークの出入り両方で余分な材料のバリが形成し、抜け際のバリはもっとも難しい課題です。このようなバリは、部品品質の悪化や生産の不一致を引き起こし、航空宇宙産業や規制の厳しい業界では、受け入れられません。はじめに
バリの形成は、すべての業界において、特に重要なコンポーネントの深い抜け穴加工などの、部品製造にとって課題となっています。これらの加工では、ワークの出入り両方で余分な材料のバリが形成し、抜け際のバリはもっとも難しい課題です。このようなバリは、部品品質の悪化や生産の不一致を引き起こし、航空宇宙産業や規制の厳しい業界では、受け入れられません。
メーカーは従来ハンドグラインダ、布やすりまたはその他手作業によって、バリを除去してきました。しかしながら、このような方法は時間がかかり、部品を取り外し、バリ取り工程のため再度取り付ける必要があります。熟練した担当者が行ったとしても、手作業のバリ取り加工では、部品の一貫性を得るのは不可能です。
その一方で、機械による端面プロファイル加工 (Mechanised Edge Profiling:MEP)は、すばやくかつ一貫してバリを除去する、工作機械の CAM プログラムに従って設計された工具を採用しています。穴の縁は、先に穴をあけた同じ機械を使用して、高公差仕様に仕上げることができます。
さらに、セコ・ツールズは、深い小径の抜け穴加工において、抜け穴のバリが工具剛性、加工精度および工具寿命に悪影響を及ぼさない、新しい MEP プロセスを開発しました。
この方法は、革新的な工具デザインにより、5 軸加工ツールパスで、直径の 10 倍の深さの穴の、高速で再現性のあるバリ取りを実現します。
エンドユーザーの需要
航空宇宙産業は、面取りや R といった特定の部品や穴の縁の条件寸法を細かに決めています。特徴としては通常、1/100 ミリ単位の公差を満たすだけでなく、部品の整合性を確保する承認および証明の工程を経ます。バリ取り工程は、部品から材料を取り去ることなく、バリ取り加工を行う緻密なバランスを実現しなくてはなりません。
部品端面やその他の MEP プロセスに使用される、標準的なバリ取り工具とプロファイル加工工具は、面取り用超硬ソリッドエンドミルや複雑な切れ刃ジオメトリを持つ交換式チップを使用する工具などです。特殊の MEP 工具では、特定の R、面取り、角度を決めることができ、またこれらの切れ刃機能を組み合わせることもできます。最も精巧なバリ取り工具には、二次バリ形成を防ぐリードイン/リードアウト角があり、R のついた面取り切れ刃設計が施されています。
MEP 工具は、通常正方形の切れ刃を使用しますが、ボールノーズや先の丸い工具も、正方形の切れ刃の工具では届かない、コンタリング加工したコンポートネント端部のプロファイル加工等に使用されます。5 軸機械に適用すると、ボールノーズ工具は複雑な部品の一連のプロファイルを走査し、長いコンタリング加工された端面に R を生成します。
工具メーカは、大きい貫通穴の入り際/抜け際のバリを除去する、端面プロファイル加工用の特殊工具も提供しています。この特殊品は、複雑な切れ刃ジオメトリを備えています。切削条件が安定し、スムーズで連続した切削の場合、この工具にはより高度な切削条件が適用できます。逆に、アクセスホールが切削パスを遮るような場合、パラメータは、工具摩耗と損傷を最小限に抑えるため、より保守的になります。
深い、小径穴
深い小径の貫通穴の抜け際の縁は、小径の工具が必要となるため、バリ取りが難しい箇所です。穴が深くなると、工具の長さ対直径比も増え、切削抵抗への耐性が弱まり、振動、チッピングまたは破損が起きやすくなります。控えめな切削条件が必要とされ、バリ取り加工が十分に発揮できない場合があります。
工具とプロセスの開発
セコ・ツールズは、革新的な工具コンセプトを開発し、5 軸のツールパス戦略と組み合わせて、深い小径貫通穴の抜け際のバリ取りを効果的に行います。
この工具は、工具が部品の中に入る部分に大きな首径のテーパ シャンクを備えています。このデザインでは、首と穴の直径の間に 0.05 mm のクリアランスが出来ます。穴の入り口の先で、この工具はより小さい径まで先が細くなり、端部に刃先があります。
この CAM のツールパスは、5 軸の動きがワークを傾斜し回転させることで、工具の中心線が先端の周りを一周し、穴の抜け際で円錐の形を描くことで、この工具の切れ刃がバリを除去します。同時に穴入り口で工具の首は効果的に止まり、穴の側面に干渉しません。Z 軸の動きで工具を穴の中に配置し、それからこの機械の 5 軸機能が X、Y、および Z 方向の動きを組み合わせて、バリ取り加工を実行します。
加工とテストカット
セコ・ツールズは、はじめに抜け際の径 3.2 mm で深さ 36 mm の貫通穴のバリ取り加工のツールパスをテストしました。長さ対直径比は 10:1 以上でした。はじめの試行錯誤テストにより、最適な回転率 1,200 rpm と、交換無しで 128 穴を加工する有効速度にたどり着きました。
すべての穴のバリ取りには、同等の穴数のバリ取りに丸一日以上要す、手作業のバリ取り技術と比較して、たった 3 秒で済みます。工具の動きを CAM プログラムと機械で制御するため、このバリ取り加工では、最初から最後の穴まで全く同じに加工できます。
プログラミング内容
MEP プロセスの前に工具の動きをプログラムするには、機械オペレーターは正確な位置決めとバリ取りする表面の設定を入力する必要があります。工具の長さも同様に設定します。工具は、0.0375 mm 以内の公差で研磨されています。工具の刃先は切れ刃と同様の加工で研磨されており、工具の切り屑と切れ刃の間は 0.0125 mm 以内となっています。工具の長さは CAM プログラムで指定します;オペレーターは、プリセッタまたは、レーザーまたはタッチプローブ経由の機械により、機械からの工具の長さを確認します。
おわりに
メーカーは継続して、ますます厳しい部品公差に対するお客様のニーズに応えます。航空宇宙産業は、この流行の先端を行ってますが、精度と一貫性への要件は、医療、エネルギー等他の業界でも、厳しくなりつつあります。
バリ取りは、精密部品生産の重要な要素であり、手作業によって長いこと行なわれてきました。残念ながら、これらの加工は部品ごとの一貫性が無く、労働力、設定および部品管理費は高価です。実際に、いくつかのエンドユーザーは、文書化および認証化できないため、手作業によるバリ取りを禁止しています。
機械による端面プロファイル加工 (MEP) は、コンポーネントのバリ取り方法および、一貫性があり、文書化でき、コスト効果のある、部品端面のプロファイル加工を提供します。セコ・ツールズの MEP における最新の開発では、革新的な 5 軸プログラミングで、深い小径貫通穴の抜け際での、一貫性と生産性のあるバリ取りが可能な特殊品があります。
MEP は多用途?
いくつかの MEP 工具はバリ取り加工に一部加工機能も兼ね備えています。たとえば、エンドミルの場合は、穴の直径を加工する切削領域の先端で MEP 加工機能を使用し、それから、同じ加工のエントリポイントでバリ取りを行います。しかしながら、覚えておいてほしいのは、深い小径貫通穴の入り際も抜け際にも使用できる MEP バリ取り工具には、ある特別な考え方があります。
MEP 加工の分析によると、貫通穴の入り口のバリを除去するように設計された工具は、出口のバリを除去するように設計されたものよりも、長い工具寿命を実現します。深い穴の出口のバリ取り工具は、より高い長さ/直径率もち、不安定性や振動が生じがちで、摩耗を早めます。
したがって、深い貫通穴の抜け際および入り際の両方のバリ取り用に設計された MEP 工具は、抜け際よりも入り際の方が長い寿命を呈し、結果として、その性能のほとんどを使わないまま廃棄される場合もあります。
さらに、穴の入り際のバリ取り用の MEP 工具は、再研磨が可能ですが、深い小径貫通穴のバリ取り用 MEP 工具の切れ刃と工具切り屑の重要な関係性により、再研磨はできません。理由は、再研磨工具の適用は、航空宇宙業界の加工上の厳密な実施要項において禁止されている、加工プログラムなどのオフセット値の変更に関わるからです。